21年後に巨大ブラックホールが衝突へ、目撃できる可能性 重さ恒星100億個分
ナショナル ジオグラフィック日本版?4月27日(月)10時44分配信
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NASAのNuSTAR望遠鏡が撮影した衝突する2つの銀河。どちらの銀河も中心部に巨大なブラックホールがある。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH/GSFC)
天文学者が想像する宇宙で最も激しい衝突現象は、2つの巨大ブラックホールどうしの衝突だ。この現象が目撃されたことはまだないが、このほど『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(Astrophysical Journal Letters)』誌に掲載された論文によると、近いうちに見ることができるかもしれない。
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論文を執筆した米メリーランド大学の天文学者ティンティン・リュー氏らは、宇宙の端近くで周期的に増減する光が、2つの巨大なブラックホールの存在を知らせていると主張する。ブラックホールの質量は合わせて恒星100億個分にもなり、お互い非常に近い距離で軌道運動していて、あと20年ほどで衝突するかもしれないという。「本当だとしたら驚くべきこと」と、この研究に関与していないニューヨーク大学の理論天文学者アンドリュー・マクファディン氏は言う。
重力波検出のチャンス
マクファディン氏が驚いたのは、巨大ブラックホールどうしが衝突するかもしれないという部分ではない。宇宙が若く、今日より小さかった時代には、銀河どうしの距離も近かったので、ブラックホールどうしの衝突は比較的よく起こったと考えられている。私たちの銀河系を含め、ほとんどの銀河は中心部に巨大なブラックホールを持っているため、銀河が衝突、融合する場合には、遅かれ早かれブラックホールどうしも融合する。
アインシュタインの一般相対性理論によると、ブラックホールどうしが衝突するときには時空のさざ波(重力波)が発生する。物理学者は巨大な重力波検出器を建設していて、こうした装置で重力波をとらえることができれば、アインシュタインの理論の正しさが裏づけられることになる。
今回の論文でマクファディン氏を驚かせたのは、近いうちにブラックホールどうしの衝突が起きて、重力波の発生を初めて観測できるかもしれないという部分である。リュー氏らが観測した天体は、PSO J334.2028+01.4075というクエーサーだ。クエーサーは中心部に超巨大ブラックホールを持つ銀河で、非常に小さい領域から強烈な光を発している。この強い光は、ブラックホールに落ち込んでいく膨大な量のガスが渦を巻いて円盤状の構造(降着円盤)を形成する際に、摩擦によって高温になり、発光することによって生じている。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150427-00010001-nknatiogeo-sctch
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