【フランクフルト=加藤貴行】独フォルクスワーゲン(VW)は25日、フェルディナント・ピエヒ監査役会長(78)が同日付で辞任したと
発表した。オーナー一族のピエヒ氏は20年以上にわたりVWの最高実力者として君臨してきた。マルティン・ヴィンターコーン社長(67)
の任期延長を巡る社内の権力闘争に敗れた形で、経営の一線から身を引く。
ピエヒ氏はVWの基礎を築いたフェルディナント・ポルシェ氏の孫にあたる。1993年にVW社長に就任。2002年に監査役会長に
退いてからも社長ら幹部人事を決め、積極的な企業買収で傘下に12ブランドを持つ一大帝国を築き上げた。販売台数を1千万台
に乗せ、トヨタ自動車と競う地位を固めた節目での引退となる。
10日にピエヒ氏がヴィンターコーン社長の任期延長に反対と独誌が報じたところ、これに反発し社長を支持する動きが広がった。
ピエヒ氏も巻き返しの動きを見せたが、監査役会での孤立が伝えられていた。監査役の主要メンバーからなる理事会は25日の声明
で、ここ数週間のピエヒ氏に起因する内紛で「相互の信頼が失われた」と指摘した。
ピエヒ氏の妻のウルズラ・ピエヒ氏(58)も25日付で監査役を辞任した。ピエヒ氏の辞任を受け、ベルトルト・フーバー監査役副会長
(65)が暫定的に会長に就いた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK25H65_V20C15A4000000/