日銀の黒田東彦総裁は19日、米ミネソタ州ウェイサタで講演し、日銀が2%の物価目標を2016年に達成し、その結果として日本の金利が上昇し始めれば、金融市場は「驚くだろう(could be surprised)」と述べた。講演は英語で行われた。
黒田総裁は2013年に導入し、昨年10月に追加緩和を決定した金融政策プログラムについて、デフレ脱却に向けて機能していると説明した。
ただ、金融市場における疑念と日銀における自信との間にはギャップがあると指摘。「向こう数年における金利の市場見通しは非常に低い。
一方で、さきほど述べたように、われわれは2%の物価目標を2015年度、もしくは16年度序盤に(in fiscal 2015 or early fiscal 2016)達成できると見込んでいる」としたうえで、「これは金利が徐々に上昇することを意味し、そうなれば日本の市場は驚くだろう」と述べた。
総裁は、原油安の影響が薄れるなか、日銀は日本のインフレが年内に「徐々に加速する(gradually accelerate)」と見込んでいると説明。
物価の基調が想定通りでなければ追加の金融緩和をためらわないとの考えを示しつつ、「現段階でそれが必要だとわれわれは考えていない」と述べた。
黒田総裁は、日銀の2%物価目標が企業経営者と消費者の行動に影響を及ぼし始めており、「デフレ心理(deflationary mindset)」の打破に向けて機能していると説明。
その証拠として、トヨタ(7203.T: 株価, ニュース, レポート)など企業のベースアップ(ベア)決定が相次いでいることを挙げた。
また、日本の輸入品コストを押し上げ、2%物価目標を達成するために日銀が一段の円安を頼りにしているということはないと語った。
その後の質疑応答では、最近の幅広い通貨に対するドル高モメンタムが維持されるとは思っていないと回答。「個人的には、現在のドル相場がこの1年間で上昇したように上昇を続けるとは思わない」と述べた。
黒田総裁は、米ミネアポリス地区連銀のコチャラコタ総裁の招きに応じてミネソタ州を訪れた。
以下ソース
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0NA13V20150419/