勝ったのは維新!?「号泣」震源地の県議選 「恥を知れ」ベテラン現職2人落選… 「謝罪行脚」も空振り
「恥を知れ」「長年の支持を裏切られた」…。有権者は ベテラン議員に怒りの〝鉄槌〟を下した。
昨年夏の政務活動費をめぐる「号泣会見」をきっかけに、現職議員の間でも次々と
政活費の不適切支出が判明した兵庫県議会。統一地方選の前半戦として行われた県議選は、
政活費問題で批判されたベテランの現職2人があえなく「落選」の憂き目を見た。
妻を同伴した九州出張が発覚したり、取材陣のカメラに追われて全力疾走で逃げる姿がテレビで放映されたりした
2人の選挙戦は、さながら〝謝罪行脚〟の様相を呈した。だが、こびりついた負の
イメージは払拭(ふっしょく)できず、長年支えてきた支援者まで離れてしまったようだ。
落選後、ベテラン議員の一人は「生きている限りみそぎが続く」と声を振り絞った。(牛島要平、中村雅和、 竹内一紘)
[中略]
◇「投票を頼めない」
姫路市選挙区(定数8)では自民現職、岩谷英雄氏(70)が候補者10人中9位にとどまり、
昭和58年以来、 8期32年間守り続けた議席を失った。
支持者を一軒一軒回る「どぶ板戦術」も、今回は神通力を発揮しなかった。
昨年秋には、ある支持者宅で涙ながらにこう訴えたという。「今回の(政活費の)件ではご迷惑をおかけしたが、何とか議員を続けさせてほしい」
岩谷氏は政活費を私用車のガソリン代や茶菓子代に使うなど不適切な支出が指摘された。
返還額は、「号泣会見」 の当事者で元県議の野々村竜太郎氏を除けば最多の約170万円に上った。
問題発覚当時、メディアのカメラ取材に追われて県庁前を全力疾走する姿が放送され、インターネットの動画にアップされた。
「マラソン県議」とからかわれ、ベテランとしてのイメージが大きく損なわれた。
ただ、岩谷氏の事務所関係者は「県庁前を走ったのは、体調を崩して入院していた奥さまのところへ
向かおうと急いでいたから。決して逃げようとしたのではない」と説明する。
それだけに、事務所内には「テレビにもてあそばれた」 という怒りが渦巻く。
「政活費問題で批判されるべきはわれわれだけではないはずなのに、完全にスケープゴートにされてしまった。
これまで地域のために働いてきた実績を無視して、一方的に批判することは公平な報道なんですか」
だが、そんな思いは支持者に届かなかった。関係者によると、岩谷氏が長年会長を務めていた
姫路市遺族会や県遺族会関係者から「さすがに今回ばかりは、知人らに『岩谷に入れてくれ』とは頼めない」
「長年の支持を裏切られた思いだ。許せない」と厳しい声が上がったという。
その結果、岩谷氏は8位当選の維新新人、住吉寛紀氏 (30)に約3700票差で敗れ、
「自分の思いを説明したが理解してもらえなかった。支持者には申し訳ない」と沈痛な表情で語った。
http://www.sankei.com/west/news/150421/wst1504210003-n1.html