国営諫早湾干拓事業(長崎県)の開門調査を実施するまで、国が佐賀、長崎両県の開門賛成派の漁業者側に支払っている制裁金(3月31日現在で計1億3500万円)について、国税局が漁業者個人の所得として所得税納付を求めていることが分かった。制裁金は開門を巡る訴訟で敗訴した場合、返納を求められる可能性もあり漁業者側弁護団が全額を預かっている。課税に応じているが、漁業者側は所得には当たらないと反発している。
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制裁金は、漁業不振の調査のための排水門開門を命じた2010年福岡高裁確定判決後も、国が干拓地の営農者らの反対を理由に開門しないため、漁業者側が求めた。佐賀地裁に「間接強制」を申し立て、14年4月、国に1日45万円(原告1人当たり1万円)の支払いが命じられた。
国への間接強制は全国初で、今年3月には漁業者側の申し立てにより1日90万円に増額された。国が馬奈木(まなぎ)昭雄弁護団長の個人口座に毎月分を振り込んでおり、14年6月~今年3月31日の293日分計1億3500万円が支払われている。
弁護団によると、開門を強制しないよう国が漁業者を訴えた請求異議訴訟が係争中で、司法判断次第では全額返納の可能性もあるため、制裁金は馬奈木弁護団長の個人口座に使わずにプールされている。これに対し、昨年夏ごろ、国税局が「制裁金収入は個人所得に当たり、課税対象になる」と納税を求めてきたという。
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