中国メディアの参考消息網は9日、日中間には歴史的問題における対立があるにもかかわらず、日本を旅行する中国人は依然として「爆発的に増えている」と報じた。上海市に本社を置く旅行会社大手「衆信旅遊」によると、企画した日本への「花見ツアー」の申込者は約1万人と、2014年の3倍に達したという。
上野公園で桜を鑑賞した北京市民のひとりは、「こんなに美しいとは思わなかった。公園もとても清潔だ」とすっかり満足した様子だったという。
日本政府観光局によると、2014年に日本を訪れた中国人観光客は前年比83%増の約240万人だった。単月では2013年9月以来、増加を続けている。2月の春節(旧正月)期間中の観光客は前年同期比59%増の35.9万人だったという。
日本の在中公館では、ビザ発給を求める人でごった返す状態だ。上海総領事館では対応のために臨時職員10人を雇った。またビザ発給の申請用紙がなくなり、臨時に別の用紙で代用することになった。
中国では日本旅行についてのSNSでの投稿も、影響力を強めているという。ショッピング情報についても「本当の話」として掲載するユーザーが多く、「まだ日本に行ったことのない人」を日本旅行に誘導するだけでなく、経験者も「また行ってみようか」との気持ちにさせる効果を発揮しているという。(解説参照)
中国の旅行雑誌「行楽」は、東京に事務所を開設した。日本ファンの増加にともない「読者がこれまで以上にディープな日本情報を求めるようになったから」という。
日本政府・国土交通省は、「もてなしの心によるあこがれの国づくり(第二の開国)」とのキャッチフレーズも使い、2020年までに訪日外国人を年間2000万人の実現を目指している。中国人訪日客は同年までに700万人となる予想もある。今後の中国人客の訪日人数の推移が、日本政府の目標達成の大きな鍵となると考えられる。(編集担当:如月隼人)
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◆解説◆
中国人は情報、特に“損得絡み”の情報に接した場合、「信憑性」を吟味する傾向が強い。彼らの特徴は「情報を発信する側には『立場』がある」との考え方が強いことだ。
政府による発表の場合には「世論誘導という目的」があり、企業の発表には「利益獲得という目的」があるとみなすので、信頼度はかなり低くなる。
一方、一般消費者の情報は「商品を称賛しても、自分が直接、得をするわけでない」と考え、「精度の高い情報」とみなす。もちろん日本人にも同様の傾向はあるが、中国人の場合にはさらに著しいと考えてよい。なお中国でもいわゆる「ステマ」や「ステマまがい」の行為があるが、SNSの“つぶやき”などを利用していた場合、消費者が「信じていたのにだまされた」と憤るなどで、極めて強い拒絶反応を覚悟せねばならないことになる。(編集担当:如月隼人)
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