声優になりたい理由を聞くと、多くの人がもっともらしい理由を口にします。
「芝居が好きで、色んな役を演じたいからです」
「子供のときにアニメからもらった感動を自分も人に与えたいからです」
しかし、私はこうした言葉をどうも真に受けることができません。「君、本当にそうなの?」と問いかけたくなることがほとんどです。
それは彼らが、自分のやりたいことを本当に見極められているように見えないからです。
率直に言うと、声優志望者の多くが「ちやほやされたい」という欲求を隠し持っています。それ自体は悪いものではありません。
しかし、自分がどれだけそれを望んでいるのか、その欲求の優先順位がどれだけ高いのかは自覚しておかなければなりません。
(略)
「人気者になりたいからその手段として声優を選んだ」ならそれでいいのです。問題はそれを自分で認識できないこと、
手段と目的を取り違えることです。この順番を間違えながらどれだけじたばたしても、あなたが満たされることは絶対にありません。
大塚明夫「声優魂」 第五章「ゴール」よりも先に君が知るべきもの
http://ji-sedai.jp/book/publication/works/seiyudamashii.pdf