2010年に西湖で70年ぶりに見つかったクニマスについて、山梨県水産技術センターは20日、山梨県甲斐市の県漁連水産会館で研究成果を発表した。
同センターは昨年3月、完全養殖にめどが立ったと発表していたが、予想に反してクニマスの成長が遅く、完全養殖に向けてさらなる研究が必要との見方を示した。
センターは11年10月~12年1月に西湖で採ったクニマスで人工授精を実施。この時生まれた個体が3歳になる昨年秋以降に一定数の繁殖を期待していた。
しかし、クニマスと比較するために飼育していた同じサケ科のヒメマスは、昨年秋、3歳になった個体のほとんどが排卵・排精して死んだのに対し、クニマスは2歳以降の成長が遅く、排卵・排精した個体は5%しかなかった。
同センター忍野支所の岡崎巧主任研究員は「今回は残念だったが、引き続きクニマスの完全養殖を目指したい」と話した。
また、クニマスの生態についても発表があった。ヒメマスなど他のサケ科の魚が水温10度程度、水深の浅い場所で産卵するのに対し、
クニマスは水温が5度前後しかない11~2月頃、水深30~40メートル程の深い場所で産卵することが明らかにされた。
西湖での産卵場所は、数、面積ともに限られ、青柳敏裕主任研究員は「クニマスの産卵環境は脆弱ぜいじゃく」と話した。
http://www.yomiuri.co.jp/science/20150321-OYT1T50084.html