<祈りと震災>(25)舞と太鼓 闇を照らす
宮城県南三陸町の水戸辺地区の高台にひっそりと石碑が立つ。地元に伝わる水戸辺鹿子躍(ししおどり)の供養碑だ。
1724(享保9)年の建立。風雨にさらされ続け、石は朽ちかけている。目を凝らすと表面に文字が見える。
「奉一切有為法躍供養也」
意味はこうだ。
「生きとし生けるものの供養のために踊りを奉納せよ」
水戸辺鹿子躍保存会会長の村岡賢一さん(64)が供養碑の前に立ち、つぶやいた。
「震災に遭ってから、石碑の言葉が胸にぐっと迫る」
水戸辺鹿子躍は宮城県北から岩手県南に広まる行山(ぎょうざん)流の起源として、江戸中期に始まったとされる。行山流は、踊り手が自ら太鼓をたたきながら踊る。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201503/20150319_13010.html