米カリフォルニア(California)州に住む結婚セラピスト、バレリー・ゴスさんがある日、
いつものようにパソコンの電源を入れると、すべてのデータが「人質」にとられていた。
知らないうちにパソコンに仕込まれていた「ランサムウエア」と呼ばれる身代金(ランサム)要求型の
マルウエア(悪意のあるプログラム)が、彼女のPCファイルを暗号化してロックをかけていたのだ。
サイバー犯は仮想通貨「ビットコイン(Bitcoin)」で500ドル(約6万円)を要求。これを支払えば暗号を解く
パスワードを教えると言ってきた。1日以内に支払わなければ「身代金」を1000ドル(約12万円)につり上げるという。
「まるで強盗にあったみたいにショックだった」とゴスさんは振り返る。
「合理的な決断をしようにも時間が迫っていた。現実とは思えなかった」
ゴスさんの息子がネットで調べたところ、ランサムウエアの被害にあった人たちのうち、
4人に1人以上が身代金を払ってもファイルを取り戻せていないことが分かり、ゴスさんは身代金の支払いを拒否。
代替策として新しいパソコンを買い、万全なセキュリティソフトをインストールし、さらにバックアップデータを
外部保存するようにした。
ゴスさんのとった決断はつらくとも正しかったと、サーバーセキュリティー企業「マルウエアバイツ(Malwarebytes)」の
マーチン・クレジンスキー(Marcin Kleczynski)最高経営責任者(CEO)は評価する。
「身代金を払ってしまったら、その金は戻らないし、データを取り戻せる保証もない」
■狙われるスマホやタブレット
ランサムウエアの存在は、以前から確認されていたが、最近になって隆盛が著しいとクレジンスキー氏は警鐘を鳴らす。
「データ誘拐犯」らはスマートフォンやタブレット、なかでもグーグル(Google)のOS(基本ソフト)「アンドロイド(Android)」
を搭載した携帯端末を狙っていると、モバイルセキュリティー企業「ルックアウト(Lookout)」の
メーガン・ケリー(Meghan Kelly)氏は言う。
同社によれば、米国における携帯端末のマルウエア被害件数は2014年、前年から75%上昇した。
この急増にはランサムウエアが大いに関係しているという。
以下略
http://www.afpbb.com/articles/-/3042621