政府は13日、他人の経済犯罪の解明に協力すれば見返りを得られる「司法取引」の導入や、
裁判員裁判事件での取り調べ録音・録画(可視化)義務付けを柱とした、刑事訴訟法などの改正案を閣議決定した。
今国会で成立すれば、3年以内に順次施行される。捜査、公判の在り方を大きく変える制度改革となる。
新たに導入されるのは、他人の犯罪を証言すれば不起訴や軽い求刑を行うことを、
検察官が容疑者や被告との間で合意できる制度。
対象は汚職や横領、組織的詐欺、独禁法違反などの財政経済事件と薬物・銃器犯罪で、
容疑者や被告の弁護人の同意がなければ合意できない。
可視化は既に警察や検察が裁量で行っているが、今回初めて、容疑者の取り調べ全過程の録音・録画が
法律で義務付けされる。ただ、殺人や強盗致傷といった裁判員裁判対象事件と特捜部などの検察独自捜査に限られ、
全事件の3%程度にとどまる。このため、対象事件について施行から3年後の見直し条項が盛り込まれた。
このほか、警察官らに携帯電話などの傍受を認める通信傍受法も改正。現行の薬物・銃器犯罪に加え、
組織犯罪が疑われる殺人や詐欺、児童ポルノなども対象に含める。証拠開示の分野では、
公判前整理手続きを行う事件について、検察官が保管する証拠の一覧表を弁護側に交付する制度が新たに導入される。
成立すれば、司法取引が2年、可視化が3年、通信傍受拡大と証拠開示が6カ月-以内にそれぞれ施行される。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2015031300149