(108)例外がいっぱい
採取方針の判然としない『総索引』ではあるが,この索引を頼りにいくつかの用例を拾ってみた。
彼はある意味に於て,此細君から子供扱いされるのを好すいてゐた。(『明暗』)
--------------- 女の顔が先刻(さつき)見た時よりも子供々々した苦痛の表情に充ちてゐた。(『行人』)
--------------- 貴方また何処か子供々々した所があるのね,斯(か)うして話てゐると。(『明暗』)
(彼女の所作は)何だか子供染じみていた。(『明暗』)
花屋から桔梗と女郎花とくわりんばいを買ふ。くわりんばいは始めての花なり。白くて子供のチンボコの様な形の蕾をなす。(『日記』明治43年)
好いいわつて,そんな子供見たいな呑気のんきな事を云つちや困るよ。(『明暗』)
これらの「子供」は『坊っちやん』の書き分けに従うならば,いずれも「小供」でははないだろうか。
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