僕がこれから就くポスドクのポストは、控えめに言っても、東大の普通の助教よりは、はるかに就くのが難しいポストだと思われます。
しかし、日本では何故か助教はassistant professorと和訳されているので、日本の方々からはポスドクの方が下に見えるでしょう。
ポスドクは、MITの物理学科でPhDを取った人が選ぶ職業の中で、給料が一番低いです。
研究職に就けなかった人も、ウォール街に行って眠気を覚えるような計算をするだけで一年目から3千万円は稼げるのに、ポスドクは600万です。
ポスドクという職に、良い事なんて一つもありません。では、何故ポスドクをするのかというと、正直よくわかりません。
でも、僕は理論物理学の研究と言うスポーツが好きなんだと思います。誰が一番頭が良いのかを、小細工無しに競うスポーツ。
時には、一緒に戦う仲間がいて。時には、競争相手がいて。ライバルは時に、友人になって。
自然というフィールドで、人間の知能の限界に挑むゲーム。
そして、ついには、この世界の深淵をのぞき見る、そんな魔性の遊びがしたいだけです。
ポスドクになるのは、とても惨めです。 しかし、人生をかけたこの遊びに興じるには、これしか道がないみたいです。仕方ないので3年間だけ、我慢してみようかと思います。
772 :研究する名無しさん:2015/12/15(火) 18:31:26 -------------- 物理ってすごいな
773 :研究する名無しさん:2015/12/16(水) 12:01:08
明日からは、人生でもっとも惨めな3年間が始まります。つまりポスドクになります。あのポスドク問題で有名なポスドクです。
ポスドクとは、PhD取得後、大学でfacultyになるまでの間に就くtemporarlyな職のこと、要は浪人生みたいな物です。
とても惨めです。惨め以外の言葉が見つかりません。
学生の間は先生から与えられたテーマしか研究しないから、ポスドクでは初めて独立して研究できる、ポスドクとは最も自由な研究ができる期間だとか言う人もいます。
けれど、ずっと独立して研究してきた僕にとっては意味の無い言い訳です。
一般的に理論物理学、とりわけ僕の分野のように競争の激しい分野では、PhDを取得した後6年くらいポスドクをしてからassistant professorになることが、かなり普通だったりします。
が、世間の人は、そんな事は気にせず、例えば経済学だと普通ポスドクをしないよね、などと言うでしょう。