9784798627311
まずはざっくりした全体像や押さえておくべき定説を端的に伝える用兵思想とは戦争のやり方や軍隊の使い方ジョミニの用兵思想戦争には不変の原則がある現代の軍隊の戦いの原則はこうした考え方に沿っているクラウゼヴィッツの用兵思想戦争は複雑な現象であり事前の予測がむずかしい事象や偶発的な事象が指揮官の意思決定や部隊の行動に影響を及ぼすクラウゼヴィッツは戦争目的を達成するために戦闘を使用するのが戦略戦闘において兵力を使用する手立てが戦術と定義した戦術とは戦略上の目的を達成するための手段に過ぎないミクロな戦術的な勝利を積み重ねていけばマクロな戦略的な勝利を必ず得られるとはかぎらない現在の戦争では単一の決勝会戦によって戦争全体の決着がつくことは稀でありいくつかの会戦の連続になるといった認識が生まれるようになった動員兵力の増大や戦場の広域化にともなって複数の軍をうまく連携させて戦うことの重要性が大きくなっていったただ一回の会戦で戦争全体の勝敗を決定づける決戦での勝利を目指すのではなく連続作戦で勝利を目指す個々の戦闘や作戦の成果をむすびつけて戦略目的の達成につなげていく複数の正面からなる広大な戦域全体を視野に入れて主攻での攻撃とそれ以外の敵の拘束や防御を連携させる作戦術の手法のひとつにフェイズ管理があるある戦役全体をいくつかのフェイズに分割し各フェイズの目標を段階的に達成していくことで最終的に戦略目標の達成を目指すクラウゼヴィッツはミスや天候の変化など予測のむずかしい事象が指揮官の意思決定や部隊の行動におよぼす影響を摩擦という概念にまとめた戦場に霧が発生すれば敵を発見するのが遅れるし雨が降れば部隊の速度は遅くなるつまり作戦計画をどれほど綿密に作ってみても予測のむずかしい事象や偶然の影響を完全には排除しきれない以上現実の作戦が計画どおりに進むとはかぎらない想定外の問題に対しても下級指揮官に裁量の余地を与えることによって上級指揮官への報告や命令を待つことなく下級指揮官の判断で部隊が迅速に対処できるので摩擦の影響を低減できる下級指揮官は具体的な命令がなくても上級指揮官が示した企図の範囲内で上級指揮官がいたら下すであろう判断を実行するが求められるエアランドバトルは敵兵力の物理的な破壊のために火力の発揮を重視するドクトリンではなく敵が組織的な行動をとれなくするために速度や機動を重視するドクトリンだ敵よりも迅速に計画して実行することで敵を対応で手一