の高峰ブロッケン山で牡山羊箒の柄火掻き棒などに乗って魔女たちが集い悪魔と狂宴を催すという伝説の舞台であるゲーテが劇詩ファウストで描いて一躍有名になったがそこに描かれた光景は壮絶そのものだ興奮して狂乱に陥った魔女の叫びが山や谷に反響し乱痴気騒ぎを生み出すのであるだからこの狼籍現象が私には小泉ブームの元型のように思えるのであるまず小渕恵三の奇怪な突然死そしてその後に密室での闇取引によって成立した森内閣さらに史上最低の支持率で森内閣が倒れると生ける屍だった自民党の起死回生策というかたちではぐれ鴉が登場したそしてそのはぐれ鴉は自分自身の住処まで破壊したのであるそれが小泉純一郎であるこれら一連の出来事が狼籍現象でなくて何であろう世界の側から日本を観察すると国内では見えないものがよく見えてそれが昔から言う岡目八目の効果を生む岡の上から遠望する人にはヘボ碁が丸見えで八目ハンディを置いた差があることを意味する石油ショックの最中に出版が決まり翌年早々に出版された自著石油飢餓のまえがきに私は次のように書いた戦後長らく続いた保守政治がついにファッショ化して独裁者のまわりに翼賛政治家が結集しすでに財閥化した財界と結託して一億の国民を再び悲劇に巻き込もうとしている現在進行していることを正しく評価するためには時間を置いて歴史的事件として過去において見るか空間的に距離をおき日本列島から一歩遠ざかってしかも日本に焦点を合わせてみるかの二つの方法しかない私は地球を相手にした歴史学者として自分の生きている時代がどのようなものであったかを後になって気づいて後悔するのは嫌だから太平洋を間において日本を観察しているがこのファシズムの不吉な胎動は気がかりでならないこのときの日本は石油ショックの混乱で大騒ぎしていたが小泉純一郎はようやく1年生議員になったばかりであり福田赳夫や中曽根康弘が天下を狙っていたさて本書のほとんどは2005年の夏の始まる頃までに書き上げており郵政解散による911選挙の椿事が起き選挙の結果を見て加筆してそれから出版しようという話になった訂正が終わり全体ができた段階で再びはじめにを読んで驚いた選挙結果の追加だけで書き直す必要がなく状況はさらに悪化していたからだそれは編集長が着眼した日本の病理の診断と私が人材枯渇と育成の問題こそ本書の中心テーマだと設定した路線が正しかったと証明していた政策を忘れて政局のレベルで動く日本は新登場した未分化で幼