は始まっていた傑作なのはカナリアの映像であるテレビカメラは重装備(十九日の防毒マスクは二十日には間に合わず二十二日には役にたったことになる)で待機している警察部隊とサティアンの中間にセットされていた噂によれば各テレビ局のカメラがスタンバイしてハィOKデースということになったそこで警察部隊はカナリア籠を先頭に静々と歩きだしたというそしてカメラはカナリア籠を左から右へきっちりとパン撮影したのである警察部隊よりもサティアンに近いところにテレビクルーは先に行っていたということだもしサリンを撒かれたら一番危険なところにマスメディアが先に行っていたそれほどに命を張ってまで取材するにふさわしい大事件だと説明されるだろうか風は警察部隊方向からサティアン方向に吹いていたという説明もあるかも知れないだったら何でカナリアを先頭にたてるのだヤラセじゃないかいずれにしろこれらの事実はサリンがもう無いことを知っていた者が警察側にいたということによりはじめて納得できるだいたいオウムが本当にサリンを作っていたのかという疑問もある第7サティアンの器械装置では本格的なサリン合成は無理だと言われている私は詳細は判らないがきちんとした換気装置がないと合成作業をしている者に危険が及ぶのだというこの点オウムの人々のワークは綿密性がなく失敗は日常茶飯事だったという話もあるし何かの時には撒いた当人が中毒症状になってあわてて治療したという話も伝えられているから案外粗雑なやり方で薬品を扱っていたのかも知れないとも思う地下鉄サリン裁判における検察側主張は第7サティアンではなくプレハブの研究棟で作ったということになったそうであるならば第7サティアンの器械装置をワークしただけの人に殺人予備の罪名を適用するのは無理ということになるでもその罪名で重い判決がすでに出ているサリンの化学的な詳細については私たちの仲間の『DNA鑑定』の著者が相当勉強しているので彼からの受け売りが多くなるが純粋なサリンは無色無臭だそうだところが松本でも地下鉄でも現場で白っぽい霧のような煙のようなものを見たという証言が多いまた刺激臭を証言している人も多いそこからオウムのサリンは純粋なものではなく不純物が混じったかわざと混ぜたかあるいは現場で2種類の薬品を混ぜたかまたはサリンとは違った毒ガスを発生させたのではないかという説が有力だこのあたりは裁判ではおよそ不十分にしか審理されていない地下鉄サリンの薬品に