20220910
どくとりん
www.mod.go.jp/msdf/navcol/assets/pdf/ssg2020_12_03.pdf
軍事における分析技法の目的は指揮官が現状と背景を理解し問題を浮き彫りにすることすなわち危機という事象の過去現在未来を理解することにあるこのような変化を把握するには原因と結果という因果関係を正しく理解することが必要とされる作戦計画を立案する前に指揮官は最新の戦略的背景を徹底的に理解することが要求される特定の危機が発生しているまた将来生起する可能性があるという文脈を分析する指揮官の作成する作戦計画の一部としてこの文脈に含まれる問題を浮き彫りにすることが重要であり危機的状況の本質を理解することがこれを可能にするつまり指揮官による現状把握が作戦計画立案の重要なスタート地点となるインテリジェンスに基づいた分析のプロセスは指揮官に対し軍事作戦を遂行し展開していくための判断や意思決定の根拠となる複雑で変化していく情勢の分析はシステム思考の考え方である変化の理論の基本として英国軍で重視されている計画技法については三つの問いに答えなければならない①現在の状況は何か②最終的なより望ましい状況は何か③いかにしてその状況が変えられるか計画はこれらの問いに答えることを通じて現状を望ましい姿に近づけるために作戦目標をいかに達成するかに焦点を当てて立案される一方経営におけるデザインを基本としたアプローチにも会社を取り巻く環境分析と計画立案があるデザイン技法を採用する企業は内的能力の強みと弱み企業を取り巻く外的可能性としての機会と脅威を適合させることにより戦略を形成するデザイン思考は六つのステップ①課題/需要の発見②解くべき課題の定義③アイデア出し④原型(プロトタイプ)創り⑤実施⑥評価で実践される課題の発見定義においては顧客の現場観察や社会トレンドなどから顧客価値を洞察するとともに蓋然性の高いビジネスのシナリオを策定する計画立案については分析結果を踏まえできるだけ数多くのアイデアを出し試行錯誤を経て望ましい状況への道筋のプロトタイプを創り出すプロトタイプが決定するとこれらを評価し最適な戦略を選定するという流れになる多様な可能性を仮説として設定し実践を通じてフィードバックを得ながら望ましい状況に到達するという試行錯誤的なアプローチがデザインアプローチであるとされるデザインの概念については軍事に見られる作戦デザインの考え方を問題を発見し(分析)解決する道筋を創り出すこと(計画)と要約すると経営におけるデザインの考え方とほぼ同様の意義で捉えられていることがわかる目的とするところは目標と手段又は望ましい状況と現状の間に最適な道筋(因果の連関)を創るという観点から両者が共通していることは明らかである作戦デザインの活動はビジネスと同様システム思考やデザイン思考のコンセプトに基づくこれは線形的なプロセスだけではなく必要なフィードバックを経て形成される非線形的なプロセスをも含むホーリスティック(全体性)な活動でありイノベーション技法の特質をよく表している