心霊研究のために実話とされる怪談を多数あさっていて思ったことは、
怪談が文芸作品としてエンタメのひとつとされるなかで、実話体験談もその
なかに含まれていることがいただけない。
これはもちろん実在の人物を扱っていてもすべては仮名や匿名でつづられる。
それを赤の他人が手にとってはひとりで興奮しているのか。
事件ものの報道なんかも被害者やその遺族を丸裸にするようなものばかりで
報道に名を借りたゲスの勘繰りばかりだ。
実話怪談もその延長線上にあって、死者をいつまでも愚弄する。
死者を魔物として語るものもある。あまりにも故人の名誉を毀損してやいまいか。
呪いだの祟りだのと、周囲が話を大きくしてゆく。
死者といえどもわれわれの祖先であったり、先輩に相当することもある。
そんなかれらに対してあまりにも失礼な態度ではないか。
怪談、それも実話と謳う怪談とは、不謹慎なものではないか。