東京電力福島第一原発事故で高濃度汚染された福島県飯舘村。昨年は野生の食用キノコの出が悪く、ほとんど調査できなかったが、今年は特に同県で愛されるコウタケがたくさん出た。7種を採取し、放射性セシウム濃度を調べた。
”大豊作”のコウタケ されど汚染は基準の100倍単位
「うわ! 足の踏み場もない」。思わずうなった。
2019年から飯舘村の定点でキノコの放射能調査をしてきたが、コウタケがこんなに群生しているのは初めて見た。しかも手のひらサイズが当たり前だ。
香りが強く、福島県ではマツタケより珍重する人もいるコウタケ。イノシシの鼻に似ていることから、現地ではもっぱらイノハナダケと呼ばれる。
早速、同村の伊藤延由(のぶよし)さん(78)宅に設置してある測定器で放射性セシウムを測定すると、ばらつきはあるものの食品基準(100ベクレル/キログラム)の百倍単位の汚染が残っていることが分かった。
「原発事故さえなかったら、採取した分だけで数万円はするのにね。でも、シロ(よくキノコが見つかる場所)は教えてもらえなかったか」。伊藤さんと苦笑し合った。
マツタケは見つけられなかったが、野手上山周辺では様々なキノコが見つかった。時とともに放射線量は少しづつ下がってきているが、キノコは生育土壌・木に含まれるセシウムを吸収しやすい。濃縮する種もある。塩漬けすればセシウムはほとんど抜けるが、安心して山の恵みをいただける日は遠い。
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