スイスの国際経営開発研究所(IMD)は9月28日、世界デジタル競争力ランキング2022を発表した。本ランキングは、63カ国・地域を対象に、デジタル技術の利活用能力を、(1)知識(Knowledge)、(2)技術(Technology)、(3)未来への対応(Future Readiness)から評価しており、今回で6年目を迎える。(1)~(3)を評価するため、9つのサブセクターとその下層に54の小項目が設けられており、それぞれが1~63のランキング形式で評価されている。
総合ランキング上位の5カ国は、デンマーク、米国、スウェーデン、シンガポール、スイスとなった。デンマークは、(1)知識の「社員研修」、(2)技術の「テクノロジーの発展と応用」、(3)未来への対応の「行政のデジタル化」など計8つの小項目が63カ国・地域で1位となった。米国は、総合順位では1位の座を明け渡したものの、(3)未来への対応については依然として強みがあり、特に「ビッグデータ活用・分析」や「政府と市民が関与するプロセスへのICT(情報通信技術)参加」、さらに「ソフトウエア著作保護」の小項目で1位となっている。
東アジアの国・地域をみると、韓国が8位、台湾が11位、中国が17位などとなった一方、日本は前年から1つ順位を下げ、過去最低の29位となった。日本は「高等教育の生徒当たり教師数」(知識)、「ワイヤレスブロードバンド利用者数」(技術)、「ソフトウエア著作保護」(未来への対応)の項目では高い評価を得たものの、「国際経験」(知識)と、「ビッグデータ活用・分析」「ビジネス上の俊敏性(Business Agility)」(未来への対応)の項目では調査対象国・地域の中で最下位となっている。
IMDは、デジタル競争が加速する経済において、「サイバーセキュリティー対策は官民の最優先事項だ」と指摘した。さらに、「デジタル化のための堅実なロードマップを策定する国・地域は、デジタル人材の教育と訓練、科学的知見の集積、さらに研究開発への投資が重要となる」と総括している。
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