地図製作の黎明(れいめい)期、実際には存在しない幻の島「幻島」が地図上に頻繁に出没した。こうした島々は、現代の科学によって“悪魔払い”のように消し去られるまで地図に残されていた。伝説、測定ミス、目の錯覚、まったくのでっち上げなどが原因で、数百もの幻島が地図に記載された。そのいくつかは、何世紀にもわたって地図に記載されたままだった。
ひと昔前までは、宝物や名声、未踏の地を求める探検家たちが、こうした誤った記載に基づいて、実りのない、ときには命懸けの大洋航海に乗り出した。アイルランドの西、大西洋にあり、「訪れた者を不老不死にする」と言われたハイ・ブラジル。伝説の金銀が埋まっているとされた日本の東にあるガマ島、ロシアによって派遣された探検隊が行方不明になったシベリアのサンニコフ島。
なぜ「幻島」が生まれたのか。地図図書館、探検家や地図製作者の記念碑、幻ではなく実在していた島などを訪れれば、この不思議な物語をたどることができる。
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