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国の研究班 感染拡大前から別のシステム開発も導入されず
国の研究班は新型インフルエンザなど過去の感染症の教訓を踏まえ、新型コロナが国内で感染拡大する7年前の2013年からHERーSYSとは別のシステムの開発を進めていました。それが「症例情報迅速集積システム=FFHS」です。
開発の基本的な考え方は現場の負担を最小限にしながら、必要な情報を正確かつ効率的に集めるというものです。
例えば従来の方法では感染者が出た場合、保健所は医療機関からファックスで感染の発生届を受け、パソコンに入力しなければなりませんでしたが、このシステムではファックスの手書きの文字をOCRと呼ばれる技術で読み取りデータとして自動で登録できます。
また、HER-SYSでは感染者についておよそ120の項目の入力を求めていましたが、このシステムではどの情報が必要かについて自治体などと議論を重ね、患者の年齢、性別や発症日、症状など最小限の18項目に絞っています。
こうした情報は各自治体がリアルタイムで閲覧でき、情報共有に必要な業務の負担を減らすことが期待されていたということです。
さらに研究班では、2013年からこのシステムを実際に運用してパンデミックの発生を想定した演習を、毎年、複数の自治体と行ってきたということです。研究班によりますと新型コロナの感染拡大が始まったおととし2月、システムを新型コロナ向けに改修するよう、厚生労働省からメールで指示を受けたということですが、それ以降、連絡はなく、システムが導入されることはありませんでした。
厚生労働省の元技官で、研究班でシステムの開発を担当した北見工業大学の奥村貴史教授は「過去の教訓にもとづき、現場で起きる課題の解決を念頭に準備してきたので、もし導入されていれば、現場の負担軽減などが実現し、国内最初の感染者からパンデミックの最後に至るまで、患者の情報を全国で効率的に集約することができていたと思う。今回、過去の教訓を生かすことができなかったのは、経験などを継承する力が組織として失われていることが原因の1つではないか」と指摘しています。
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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220621/k10013682711000.html