将来の移動手段を考える「大分市次世代モビリティ研究会」(渡辺博子会長・12人)が、独自開発した超小型電気自動車の試作車を披露した。自動車整備や電気設備、情報通信といった市内の中小企業が知恵と技術を持ち寄り、「近未来」をイメージした機能やデザインを施した。引き続き活用法や移動手段の研究を進める。
透明感のある紫色が目を引くボディーは曲線が印象的な形状。ホイールはカバーに隠れ、車体が浮いているようにも見える。
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市次世代モビリティ研究会事務局の市創業経営支援課によると、車両(1人乗り)は全長2・36メートル、幅1・13メートルのオープンカータイプ。トヨタのグループ企業が製造した旧型「コムス」の中古車をベースに、会員の各企業などが一部構造や機能、外装を変更した。製作費は約500万円。
衛星利用測位システム(GPS)を用いた端末で現在地や走行履歴を確認できるようにした。顔認証で起動するシステムも新設した。最高時速は50キロ。公道を走行でき、フル充電では約45キロ走れる見込み。
1月から本格的に車両の製作を始めた。鉄材のボディーのデザインや成型、塗装、シート移設、各端末の設置・設定―など役割を分担。3月に仕上げた。
大分大は学生が超小型電気自動車の需要を調べるなどして協力。顔認証システムは別府市の企業の製品を採用した。
3日に大分市役所で寄贈式があり、関係者13人が出席。同大教授の渡辺会長(56)が「業種や組織を超えた活動の成果」とあいさつ。佐藤樹一郎市長は「素晴らしい技術とデザイン。産業都市・大分の発展に今後も力を貸していただきたい」と謝辞を述べた。式後、車両を走らせるデモンストレーションもあった。
車両は当面の間、第2庁舎前に展示。「大分七夕まつり」(8月)などでも披露する予定。
<メモ>
大分市次世代モビリティ研究会は2020年7月に発足した。市内の企業と大分大の関係者で構成し、地域活性化や産業振興に向け電気自動車などを研究。21年3月には、オリジナル車両の研究開発などに取り組む中期ビジョンを策定した。
※この記事は、6月6日 大分合同新聞 9ページに掲載されています。
https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2022/06/06/JD0061371807