ウクライナ南部ザポリージャ(Zaporizhzhia)の鍛冶師ワディム・ミルニチェンコ(Vadim Mirnichenko)さん(39)は、中世の一騎打ち競技「ジョスト」で使う剣や防具を作っていた。だが、今はその情熱をロシアと戦うウクライナのために注いでいる。
ミルニチェンコさんは、独学で鍛冶を学んだ。小さく暗い工房には、完成品や作りかけの剣、よろいが所狭しと置かれている。
ジョストはウクライナではスポーツの一つとされ、馬に乗らずに地上で競うこともある。2019年に同国で行われた世界大会には、欧州をはじめ、遠くはオーストラリアから1000人以上が参加した。
ミルニチェンコさんは、20年のジョスト経験があり、肋骨(ろっこつ)を何度か折った。
ジョストは荒々しいスポーツだが、「男ならみんな思っているように、自分も剣を手に騎士のように戦いたい」とAFPに語った。
ミルニチェンコさんは趣味を生かして、鍛冶師として生計を立てていた。
新型コロナウイルスの流行で各地の大会が中止になるまで、ミルニチェンコさんは多いときで16人雇っていた。
外国からも引き合いがあり、AFPが取材に訪れた際は中国向けの商品が出荷を待っていた。
ただ、最近は、工房の職人たちの関心はウクライナにある。
ミルニチェンコさんの友人で職人の一人、アンドリー・パリー(Andriy Paliy)さんは「祖国支援で自分の役割を果たすことができ、誇りに思う」と話した。
ミルニチェンコさんは入隊を希望していた。訓練を受けたこともあるが、応募者が多過ぎたため断られたという。そこで、自分の専門分野を生かして貢献することにした。
きっかけは、工房で作っているよろいの試験をしたいと友人が言い出したことだった。「射撃場に行ったら、うちのよろいでも銃弾を止められることが分かった」
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https://www.afpbb.com/articles/-/3403313