ロシアの学校で、ウクライナ侵攻に疑問を呈したり、平和の大切さを訴えた教師が「裏切り者」「虚偽情報を教えた」などとして生徒や保護者から密告され、解雇されたり、罰金を科せられるケースが相次いでいる。プーチン政権の思想統制が一部の子どもたちにも浸透。冷戦時代の旧ソ連のような「密告社会」が復活する恐れも出ている。
北海道に近いサハリン最南部の港湾都市コルサコフ(旧名・大泊)の学校では5日、ロシアとウクライナの平和について授業中に語った女性の英語教師(57)が解雇された。
現地メディア「サハリン・インフォ」などによると、この教師は先月17日、授業終了の3分前に、さまざまな国籍の子どもたちがロシアとウクライナの平和を願って歌うビデオを中高生に見せ「私たちが明るい未来を信じれば、世界はもっと優しくなる」と語りかけた。
授業終了後、一部の生徒が教師にビデオを見せた意図を問いただし、その際の会話を録音。保護者が学校に苦情を訴え、解雇が決まったという。同時に「教育現場における道徳と倫理に反する行為」があったとして、3万ルーブル(約4万5000円)の罰金を科す行政処分も言い渡された。教師は「生徒に平和の問題を考えてもらいたかっただけなのに」と嘆いた。
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