新潟名物のひとつ、タレカツ丼。その発祥の店とされるのが、新潟一の繁華街・古町にある「とんかつ太郎」だ。カツ丼といえば、トンカツを卵とじにした丼飯だが、ここでは卵とじにせず、甘じょっぱい醤油ダレをかけて食す。
同店の3代目店長、小松寿雄さん(54)によると、洋食の修行を積んだ初代の道太郎さんが昭和初期に始めた料理。きっかけは「洋と和の要素を取り入れた、いいソースができたからじゃないか」という。
カツは「極上」と呼ばれる部位の豚肉に、細かいパン粉を薄くまぶし、高級なピュアラードで揚げる。「シンプルな料理なので、どこも妥協できない」と小松さん。脂をあまり吸わないパン粉を使用している上に、赤身肉だから意外とカロリーは低いのだとか。
丼には、秘伝のタレが染み込んだ5枚のトンカツがうずたかく積まれている。口に運ぶと、サクッとした衣と軟らかい肉の食感の後に、甘じょっぱいタレとカツの絶妙な味わいが広がる。新潟県産コシヒカリとの相性も抜群だ。
開店前から行列ができる人気店。地元のリピーターはもちろん、県外からも訪れ、ピーク時には1時間待つことも。4世代にわたって通う家族もいる。まさに、新潟で最も愛されているカツ丼といっていいだろう。(池田証志)
産経ニュース 2019.6.13
https://www.sankei.com/premium/news/190613/prm1906130003-n1.html