木を原料にした「酒」をつくる技術を、森林総合研究所(茨城県つくば市)が開発した。サクラやスギ、シラカンバなど、それぞれ樹木特有の香りとともに、ブランデーやワインに似た味わいがあるという。安全性が確認されて売り出されれば、世界初の「木のお酒」になる。
研究チームの大塚祐一郎主任研究員らによると、たる酒のように木の香りを既存の酒につけたものはあったが、木材そのものを原料とした酒はなかったという。樹木の細胞壁が硬く、微生物が分解発酵できないためだ。薬剤で細胞壁を壊すことはできるが、食品にはできず、燃料用のアルコールなどにしてきた。
研究チームは樹皮を除いた木材を天然水に漬け、直径2ミリのセラミック球と一緒にミキサーにかけて、薬品を使わずに細胞壁を粉砕する技術を開発。酵母などを加え、タンク内で2~4日発酵させたところ、アルコール度数約2%の琥珀(こはく)色の原液ができた。蒸留して度数約15%の透明な酒を完成させた。
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