紀伊半島南部で見られる早咲きの桜が、野生種としては国内で約100年ぶりの発見となる新種の可能性が高いことが、国立研究開発法人「森林総合研究所」の調査でわかった。和歌山、奈良、三重3県の一部でもともと自生し、今回新たに「クマノザクラ」と名づけられた。
8日に和歌山市であったシンポジウムで、同研究所多摩森林科学園(東京)のサクラ保全チーム長、勝木俊雄さん(50)が発表した。現在、国内で見られる野生の桜の基本種は、分類方法にもよるが、ヤマザクラやオオシマザクラなど10種とされる。他に、人工交配や突然変異で生まれ、人の手で育てられているソメイヨシノなどの栽培品種が多数ある。今回確認されたクマノザクラは自生の新種と考えられ、変種などではなく、新たな基本種として認められれば1910年代のオオシマザクラなど以来という。
きっかけは、勝木さんが紀伊半島南部で調査していた数年前にさかのぼる。ある桜を見て「どうも他のと違う」と違和感を抱いた。
https://www.asahi.com/articles/ASL1L51VJL1LPXLB00F.html