天皇陛下の譲位を可能にする特例法が9日午前の参院本会議で可決、成立した。譲位は江戸時代後期の光格天皇以来、約200年ぶりとなる。特例法の施行日に譲位し、施行日は公布から3年を超えない範囲で皇室会議の意見を聴いて決めるとしており、今後政府による検討が本格化する。
譲位は、明治期に制定された旧皇室典範以降、恣意的・強制的な譲位を排除するため、現代に至るまで認められてこなかった。昨年8月、陛下がお気持ちを表明したビデオメッセージを契機にした法制備は、事前に政府と国会が内容をすり合わせるなど異例の経過をたどった。
特例法は、将来的に強制的な譲位が起こらないように、1条で陛下の譲位に至る事情を説明し、恣意的、強制的なものではないと明確化した。天皇が政治的権能を有しないとする憲法の規定に違反しないよう、陛下のお気持ちに対する国民の共感を踏まえて譲位を実現するとの趣旨も盛り込んだ。
譲位は陛下一代限りとするが、政府は特例法が将来の譲位の「先例になり得る」との見解を示している。
http://www.sankei.com/politics/news/170609/plt1706090014-n1.html