日本水産は8日、マダコの完全養殖に成功したと発表した。卵を人工でふ化させてから親ダコになるまで育て、産卵させるサイクルを繰り返す完全養殖の成功例は、スペインで1件報告されているが、日本では初めてとみられる。日本水産は2020年にも出荷を開始することを目指す。
マダコは、日本をはじめ世界中で食べられている身近な海産物の一つ。ただ、卵からふ化した「幼生」が海中を浮遊した後、海底で「稚ダコ」となるまでに死滅するため養殖が難しく、現在、国内に流通する全量がアフリカなどからの輸入を含めた天然物となっている。
日本水産は、中央研究所大分海洋研究センター(大分県佐伯市)でマダコ研究に取り組んでおり、15年に卵から稚ダコの生産に成功した。
16年にはふ化した数千尾の幼生のうち、数十尾が稚ダコに成長。今回、この一部が親ダコになって産卵し、そこから数万尾の幼生が得られたという。幼生から稚ダコへの生残率向上などの課題が残っており、今後、事業化に向け研究を重ねる。
日本水産は「7カ月で1キロを超える高成長性が確認された。他の魚種に比べ成長のスピードは速い」と期待している。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017060800954&g=eco