【ドバイ=岐部秀光】サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンの4カ国が5日、同じアラブの国であるカタールと国交を断絶すると発表した。4カ国は「(イスラム原理主義組織)ムスリム同胞団などのテロ組織を支援した」ことを理由に挙げ、カタールを非難した。5月にサウジの首都リヤドを訪問したトランプ米大統領がアラブ諸国を含む50カ国超の首脳を集め、呼びかけた対テロの結束は、はやくもほころびを見せた。
各国はカタールと陸路、海路、空路の交通を遮断したほか、カタールの駐在外交官の出国を求めている。
カタールが、支援を非難されたムスリム同胞団はイスラム教スンニ派の原理主義組織。エジプトでは2011年の民主化運動「アラブの春」でムバラク政権が倒れた後、同胞団出身のモルシ氏が大統領の座に就いた。同胞団を敵視するエジプトのシシ政権はこれをテロ組織と指定している。サウジやUAEも非合法の組織と指定した。
断交の背景にはカタールとイランの関係もある。カタールでは先月、国営通信社がサウジの対イラン政策を批判するような首長の声明を報じた。猛反発を浴びたカタールは、「通信社がハッキング被害に遭い、声明はにせものだった」と説明したが、各国は不信感を強めた。
イランとサウジの両大国に挟まれた小国カタールは双方に配慮しなければならない事情がある。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO1730428005062017I00000/