【ワシントン=小雲規生】トランプ米大統領は1日午後(日本時間2日未明)、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱すると発表した。選挙戦から離脱を公約してきたトランプ氏には国際社会から強い批判が出ていたが、反対を押し切って離脱を決めた形だ。国際的な気候変動問題への取り組みの後退が懸念されるほか、米国の指導力低下につながるとの指摘も出ている。
トランプ氏はホワイトハウスで発表した声明でパリ協定は「米国に不利に働いている」と強調。温室効果ガス削減の取り組みが米国経済の足かせになっているとの持論を展開した。
パリ協定はオバマ前政権時代の2015年12月に約190カ国が合意。16年11月に発効した。各国が温室効果ガス排出量の削減目標を提出し、削減に向けて努力することが柱で、現在の不参加国はシリアとニカラグアの2カ国のみだ。
しかしトランプ氏は選挙戦中から人間の活動が気候変動をもたらしているとの考えに懐疑的な立場を取り、排出量規制は石炭など米国のエネルギー産業に悪影響を与えると主張。パリ協定離脱を公約していた。
中国に次ぐ世界2位の排出国である米国の離脱表明は、各国の排出量削減の取り組みにもブレーキをかけかねない。5月の先進7カ国(G7)首脳会議でも各首脳が残留を呼びかけていただけに、トランプ政権は離脱表明で気候変動以外の分野でも国際社会からの信頼を失うとの指摘も多い。
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