南沙諸島ミスチーフ礁12カイリ内を駆逐艦「デューイ」航行
【ワシントン会川晴之】ロイター通信など米欧の主要メディアによると、米海軍が南シナ海の南沙(英語名・スプラトリー)諸島で24日、「航行の自由」作戦を実施した。米当局者の話として伝えた。中国が実効支配するミスチーフ礁(中国名・美済礁)の12カイリ(約22キロ)内をミサイル駆逐艦「デューイ」が航行した。南シナ海での実施は昨年10月以来5度目だが、トランプ政権発足後では初めて。中国の反発は必至だ。
トランプ政権は、中国がミスチーフ礁など南シナ海の岩礁を埋め立てて人工島を作り、軍事要塞を整備していることに強い懸念を示している。人工島を民間衛星写真で分析している米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)は今年2月、中国がミスチーフ礁に地対空ミサイルを格納すると見られる施設を建設中と発表していた。
ミスチーフ礁は、昨年7月の仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)の判決で、低潮時には水面上にあるが、高潮時には水没する「低潮高地」と認定された。国際法上は、領海も排他的経済水域(EEZ)も設定できない。中国が領海を主張しにくいため、ミスチーフ礁を対象に選んだ可能性がある。この岩礁は、米国が2015年10月に実施した1回目の航行の自由作戦でも対象になった。
https://mainichi.jp/articles/20170525/k00/00e/030/272000c