【モスクワ=遠藤良介、ネピドー=吉村英輝】フィリピンのドゥテルテ大統領は23日夜、南部ミンダナオ島全土に戒厳令を発動した。同島マラウイで同日、政府軍とイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う武装勢力の交戦が拡大したため、治安当局に強力な権限を与え押さえ込みを図る。
ドゥテルテ氏は、訪問先のロシアで戒厳令発動を発表。26日までだった訪露日程を切り上げて帰国するため、25日に予定していたプーチン露大統領との会談も23日深夜に前倒しして実施し、武装勢力との戦闘に向けロシア製武器の調達に前向きな姿勢も示した。
プーチン氏は、両国間には軍事技術分野など「多くの有望な(協力の)方向性がある」と述べた。比側は偵察機器や各種の小型兵器、ヘリコプターなどをロシアから調達することに意欲を見せている。
戒厳令の有効期間は60日。令状なしの逮捕などが可能になる。ドゥテルテ氏はモスクワ出発前の24日、「戒厳令は(長期独裁政権を敷いた)マルコス元大統領が行ったものと違わない」と強権を発動する意向を示すとともに、戒厳令が1年続く可能性も示唆した。夜間外出禁止令などの追加発動も検討されている。
http://www.sankei.com/world/news/170524/wor1705240047-n1.html