イラクのアバディ首相は、日本時間の17日朝、過激派組織IS=イスラミックステートが支配する北部最大の都市モスルの奪還作戦を始めたと発表しました。モスルはイラクにおけるISの最大の拠点で、対IS作戦は重大な局面を迎えました。
イラクのアバディ首相は17日未明(日本時間の17日朝)、国営テレビを通じて、イラク第2の都市モスルを過激派組織ISから奪還する作戦を始めたと発表しました。これに続いてイラク軍は、モスルの南側からISの拠点に対して砲撃を加えていることを明らかにしました。
ISは、おととし6月、モスルを制圧したあと、シリアとイラクにまたがるイスラム国家を打ちたてたと一方的に宣言しました。
しかし、各国でテロを繰り返すISに対して、国際社会の危機感が強まり、シリアやイラクの政府軍に加え、アメリカ主導の有志連合やロシア軍が攻撃に加わり、支配地域を失いつつあります。
イラク軍などがモスルを奪還すればISはイラクでの大きな足場を失うことになり、対IS作戦は重要な局面を迎えました。
ただ、モスルや周辺には100万人を超える市民がいるとみられ、ISが市民を「人間の盾」にして被害が広がるおそれもあり、作戦が順調に進むかは不透明です。またISは、欧米やアジアなど各国で自爆テロなどをくり返しており、モスルの奪還作戦で追い詰められれば、ISのメンバーやISの過激な思想に染まった若者などが、各地でテロという手段で対抗してくることも懸念されます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161017/k10010732331000.html