三井造船玉野事業所(岡山県玉野市玉)は、国内最大のコンテナ運搬船向けに、出力約10万馬力の超大型ディーゼルエンジンの製造を始める。今治造船(愛媛県今治市)から約200億円で13基受注した。玉野事業所の設備を増強し、2017~19年にかけて納入する。
受注したのは、シリンダー直径95センチの11気筒のエンジン。長さ21・4メートル、幅5・3メートル、高さ15・3メートル。三井造船がライセンスを取得して製造するMANディーゼル&ターボ社(ドイツ)製では世界最大級の出力となる。今治造船が丸亀事業本部(丸亀市)と西条工場(愛媛県西条市)で建造する20フィートコンテナを2万個積めるコンテナ船に搭載される。
玉野事業所で手掛けているエンジンは、シリンダー直径50センチの6~7気筒、1万5千~2万馬力程度が主流。過去に10万馬力級を製造したことはあるものの、今回はまとまった量を受注したことから、同事業所内の機械工場の設備を増やして対応する。
来春までに金属を加工する大型の5面加工機を導入するのをはじめ、自動溶接ラインやエンジンの試験運転設備を増設。投資額は約35億円を見込む。
造船業界では中国、韓国勢が建造能力を拡大してきた一方、世界経済の減速により荷動きが低迷し「船余り」の状態となっている。
三井造船執行役員の村上清彦機械工場長は「今回のような大型エンジンや、排ガス中の不純物が少ない環境配慮型エンジンなど、技術力を生かした製品で多様なニーズに応え、受注を伸ばしたい」と話している。
玉野事業所は三井造船唯一のエンジン生産拠点で、国内シェアは5割を超える。15年度はばら積み貨物船向けを中心に181基(計328万馬力)のエンジンを製造した。
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