【ニューヨーク=高橋里奈】国連安全保障理事会は5日、次期事務総長を選ぶための6回目の予備投票を実施した。ポルトガル元首相のグテレス氏(67)が6回連続で首位に立った。拒否権を持つ安保理の常任理事国5カ国が反対しなかったことで、グテレス氏の選出が確実になった。正式な投票を6日に実施し、公式に決定する。
5日の投票は米中ロ英仏の常任理事国の投票用紙の色を変えた。これまでは15カ国の理事国はすべて同じ色の投票用紙だったが、色を変えることで拒否権を持つ常任理事国が1カ国でも反対すれば、候補は自動的に落選する仕組みだった。
過去の投票で首位を独走してきたグテレス氏は、今回も13カ国の賛成票を得た。2カ国は「意見なし」だった。東欧の候補を推してきたといわれるロシアの出方が注目されていたが、常任理事国の反対がなかったためグテレス氏で事実上、一致した。
グテレス氏は今年末で任期を終える潘基文事務総長(72)の後任として、2017年1月に事務総長に就任する見通し。
グテレス氏は1949年4月、リスボン生まれ。リスボン工科大学を卒業。ポルトガル社会党書記長などを経て、95年にポルトガル首相に就任した。05年から15年まで国連難民高等弁務官を務めた。世界を揺るがせている難民危機への対応への期待も大きい。
安保理は6日に正式投票を経たあと、国連総会に勧告し、総会が正式に任命する。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM05HAM_V01C16A0FF2000/