全国的に漁獲量が大幅に減っているカタクチイワシを養殖する技術の確立に、水産研究・教育機構の研究グループが初めて成功し、カタクチイワシの資源の回復に役立つ可能性があるとして注目を集めています。
農林水産省の統計によりますと、カタクチイワシは、去年までの10年間に全国の漁獲量が41万トンから16万トンに大幅に減っています。
このため、資源の回復が課題となっていますが、カタクチイワシを養殖しようとしても、稚魚がふ化した直後に大量に死んでしまうことが多く、これまで有効な養殖の技術は確立されていませんでした。
国立研究開発法人の水産研究・教育機構の瀬戸内海区水産研究所の米田道夫研究員のグループは研究を進めた結果、ふ化した直後の稚魚がいる水槽内の明るさを大幅に増やすと稚魚が大量に死ぬのを防ぐことができることを発見しました。
研究グループによりますと、ライトで光りを当てて水槽内を明るくして稚魚を育ててみたところ、ふ化後2週間の時点で全体の70%程度の稚魚が死なずに育ったということです。
研究グループは、水槽内を明るくすることでふ化したばかりの稚魚の目でもよく餌を見極めて食べられるようになったのではないかと見ています。
農林水産省によりますと、カタクチイワシを安定的に養殖する技術の確立は初めてだということで、米田研究員は「今回の養殖技術は安定的な供給にむけて役に立つものになるはずだ」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160930/k10010712561000.html