2007年8月に当時の国内観測史上最高気温の40・9度を観測した岐阜県多治見市で、猛暑の原因究明に取り組む筑波大学計算科学研究センターの日下博幸准教授らが、昨年度の現地調査結果の報告会を開いた。
体感温度を下げるには、ミストの噴射より、木陰に入る方が有効と分かったと報告、緑地帯の設置などを求める文書をまとめ、今秋にも市に提出する方針だ。
市とセンターは10年に高気温・温暖化対策の研究で連携協定を締結し、日本有数の暑さの科学的解明に取り組んでいる。昨年は、ヒートアイランド現象の見られるJR多治見駅周辺に、一定の温度と湿度になると霧状の水を噴出するミスト発生器を設置。8月には、筑波大生や内科医が調査に訪れ、気温や湿度のほか、市民らが測定器を装着して歩くなどして体温や脈拍数、発汗量などの体感温度のデータを収集した。
報告によると、ミストの噴射は一時的に周囲の気温が下がり、体感温度も若干下がるものの、風が吹くと効果が薄れることがわかった。一方、街路樹の木陰は、体感温度が2度前後下がり、効果が顕著だったという。
センターは今後、同駅周辺や中心街一帯などの気温や湿度が高い地域を特定、市民が木陰で暑さをしのげるような緑地帯や公園の設置を求める文書をまとめ、市に提出するという。
報告を聞いた古川雅典市長は、「科学的な調査の結果がだんだん、見えてきた。来年度にも体感温度を下げる施策に着手したい」と話した。
http://www.yomiuri.co.jp/science/20160513-OYT1T50024.html