1兆8000億円。5年後の東京五輪・パラリンピックに必要な会場整備、大会運営にこれだけの金がかかるという。大会組織委員会の試算で分かったそうだが、立候補の段階では約3013億円で、約6倍に膨らんだというから驚きだ。人件費や資材の高騰など当初の見込みを大幅に上回ることが要因らしい。
12年のロンドン大会の運営費は約2兆1000億円。それに比べ3000億円とは安い、と国民は思ったろう。本当は兆を軽く超えることは想定できても、はじめからあからさまにすると「ムダ遣い」と批判が出る。立候補に際しては国民を納得させる額に抑えておいて…。そう勘繰られても仕方ない。
組織委は費用削減に向け東京都や国との協議を急ぐそうだが、最終的には公的資金投入は必至とか。「酒類と外食を除く食品全般」で合意した軽減税率も当初4000億円と予定された財源が約1兆円に膨らんだ。どうやって6000億円ひねり出すのか知らないが、国民があっけにとられた「ドンブリ勘定」連発にはあきれるばかりだ。
東京五輪に関しては盗作疑惑で白紙撤回されたエンブレムの選考過程での不正が、調査チームによって明らかにされた。事前に参加を要請した佐野研二郎氏ら8人のデザイナーの作品を優遇し、2次審査に残すため不正投票が行われ、動かぬ証拠としてDVD映像が残っていた。
日本の恥を世界にさらした騒動の裏で、こんな不正がまかり通っていたとは情けないかぎり。「何をやっても許される」と横車を押し通し、後は知らん顔では許せない。五輪の名のもとに欺かれた揚げ句、運営費のしわ寄せが税金で及んでくる国民はたまったものではない。 (今村忠)
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