牛乳など冷蔵飲料の容器として使われる紙パックに、ふたを取り付けたタイプが増えている。力の弱い高齢者でも開けられ、ペットボトルのように飲み残しても保存が簡単なためだ。従来の容器との差別化を図れるとして、今後も飲料メーカーの間で採用する動きが広がりそうだ。
ふた付きの紙パックは3年前、スイスの食品包装大手テトラパック・グループが飲料メーカーに提供を開始。明治がヨーグルト飲料に初めて採用した。
その後、雪印メグミルクや森永乳業の牛乳、カフェオレなど幅広い商品に広がった。テトラは「簡単に開けられ、持ち運びしやすい点が消費者に支持された」(広報担当者)と説明する。
ふた付きが飲料メーカーに歓迎されたのは、牛乳でおなじみの屋根型紙パックには安価な印象が定着していたからだ。屋根型は1968年に十條製紙(現日本製紙)が導入したが、ペットボトルなど飲料容器が進化する中、半世紀近く形は同じだ。目新しい商品には適さないという屋根型デザインの弱点をふた付きで克服。さらに高齢者に多い「開けにくい」という不満も解消した。
こうした市場の変化を捉え、屋根型で4割の市場シェアを持つ日本製紙も、飲料メーカーにふた付きの提供を始める。デザイン性を高くするとしており、秋ごろ店頭に並ぶ見通しだ。
紙パック事業本部の伊藤一博部長は「容器で商品特性が示しやすくなる」と普及に自信を見せる。同社の屋根型紙パックの半分をふた付きに置き換える方針だ。
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