米政府はオバマ大統領が5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の直後に被爆地、広島を訪れる方針を固めた。サミットが閉幕する27日に訪問する日程で日本側と調整する。1945年8月6日に原爆を投下した米国の現職大統領が広島を訪れるのは初めて。「核兵器なき世界」を掲げるオバマ氏は、広島で核廃絶を訴える演説をする計画だ。
複数の米政府高官が日本経済新聞の取材に明らかにした。高官は「(中東、欧州を訪問中の)オバマ氏が首都ワシントンに戻ってから(広島訪問を)速やかに決めたい」と明言した。日本政府には5月上旬に正式に伝える考えを示唆した。
別の高官はオバマ氏の訪問時期に関して「サミットの日程に影響がないようにするだろう」と述べ、サミットが閉幕する27日の訪問を日本側に打診する意向を表明した。4月上旬のG7広島外相会合の際にケリー米国務長官が訪れたのと同様に、オバマ氏は米軍岩国基地を経由して空路で広島入りする見込みだ。
高官はオバマ氏の広島の演説に関して「日本人や核不拡散を望む人々に重要なメッセージを発信したい」と説明した。中国や韓国などアジア諸国・地域にも配慮した内容になると指摘した。
広島平和記念公園では献花を検討している。「原爆投下は戦争の早期終結を促した」という米国内の肯定論を踏まえ「謝罪外交」との批判を受けないよう細心の注意を払う。オバマ氏の広島入りに伴い、安倍晋三首相も同行する方向だ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGU22H02_S6A420C1MM0000/