【ソウル=島崎諭生】北朝鮮の朝鮮人民軍偵察総局に所属していた大佐が昨年、韓国に亡命していたことが分かった。北朝鮮の事情に詳しい消息筋が明らかにした。韓国統一省の報道官も十一日、事実を認めた。これまでに脱北した朝鮮人民軍関係者の中では最高位級とみられ、金正恩(キムジョンウン)第一書記による強権体制にほころびが出てきていることがうかがえる。
消息筋によると、大佐は昨年末に亡命。一般の部隊では中将級に当たる。偵察総局は二〇〇九年に創設。韓国や第三国へのスパイ工作や情報収集、外貨獲得などを担当する。金第一書記に直接報告するなど朝鮮人民軍の核心組織とされる。大佐の供述により、北朝鮮が韓国に対して行う工作活動の詳細が明らかになる可能性がある。
また、聯合ニュースは十一日、アフリカ駐在の北朝鮮外交官一家が、昨年五月に韓国に亡命したと報道。韓国統一省はこれも事実と認めた。北朝鮮からの亡命をめぐっては、韓国政府が八日、国外の北朝鮮レストランの従業員ら十三人が亡命を希望し、韓国に入国したと発表したばかり。
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2016041102000071.html