【ニューヨーク=高橋里奈】国連本部で約1カ月にわたって開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は22日、最終文書を採択できないまま閉幕した。事実上の核保有国であるイスラエルを念頭に置いた中東の非核地帯化を巡る米英と中東諸国の協議が難航、文書のとりまとめに失敗した。NPT体制は形骸化の瀬戸際にあり、オバマ米大統領が提唱した「核なき世界」への機運は後退した。
最終文書案の採択は全会一致が原則だ。5年に1度開かれるNPT会議で最終文書の採択に失敗するのは、米国とイランが対立した2005年以来、10年ぶり。原爆投下から70年の節目の年に、国際社会が団結し目に見える「成果」を残すことはできなかった。
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