酒を飲むとすぐに顔が赤くなる人は、安静時に心臓発作が起きる冠攣縮[かんれんしゅく]性狭心症を発症するリスクが高いことが、熊本機能病院(熊本市北区)の水野雄二副院長(循環器内科)らの研究で分かった。米医学誌「サーキュレーション」に掲載された。
アルコールは体内で、まずアセトアルデヒドへ代謝され、さらにアルデヒド分解酵素により分解されて無毒化される。しかし、日本人の約45%では、同酵素の遺伝子型がアセトアルデヒドの分解能力が低いタイプのため、酒に弱く顔が赤くなる「アルコールフラッシング症候群」の人が多いという。
同狭心症は、同病院・熊本加齢医学研究所の泰江弘文所長(元熊本大教授)が中心となって病態を解明し、治療が進んできた。心臓の冠動脈が異常に収縮して、心筋が酸素欠乏を来す狭心症で、夜間から朝方に多く、胸痛や息苦しさ、突然死を起こす原因の一つ。欧米人に比べ、日本人に多く、狭心症の4割以上が冠攣縮性という調査結果がある。
水野医師らはこれまでに、飲酒によって冠攣縮性狭心症が誘発され、特に同症候群の人で発症の可能性が高いことを解明。今回202人を分析したところ、同狭心症の患者では同症候群の出現率が68%に上り、同狭心症ではない人に比べ、約27ポイント高かった。
水野医師は「冠攣縮性狭心症は従来、たばこの煙が主な原因と考えられてきたが、新たな原因が分かった。お酒を飲んだら赤くなる体質の方は、この心臓発作に注意が必要」と話している。
ソース
http://kumanichi.com/news/local/main/20150516002.xhtml