「大阪都」構想の賛否を問う住民投票が17日に迫る中、各党の動きが過熱してきた。報道各社の世論調査で反対が賛成を上回ったことを受け、構想実現を掲げる維新の党は14日から運動員「1000人」を投入、巻き返しを図る。自民党は反対を訴える地元の意向で党幹部を急きょ現地入りさせるが、首相官邸サイドが構想への共感を示すなど、内実は複雑。 投票結果は今後の政局にも影響しそうだ。
都構想は、大阪市を廃止して五つの特別区に再編することが柱で、大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長(維新の党最高顧問)が推進してきた。連日街頭に立つ橋下氏は13日も同市内で「今、状況は反対派が優勢となっている。できるだけ賛成票を広げてほしい」と強調した。
維新は当初、大阪以外の国会議員らは住民投票に関与してこなかったが、劣勢が伝えられ、執行部は総力戦に切り替えた。国会議員や地方議員がそれぞれ運動員を現地入りさせ、14日から投票日の17日までビラ配りなどでフル回転させる。
一方、自民党の谷垣禎一幹事長は13日、首相官邸で安倍晋三首相と会談。住民投票について「結論がどうなるかによって、国会での維新の力関係に影響があるかもしれない」との見方を伝えるなど、意見を交わした。
自民党本部はこれまで、都構想に反対する大阪府連の動きとは一線を画し、構想の是非について曖昧な姿勢を取ってきた。憲法改正で維新との連携に前向きな官邸側の意向に配慮したためだ。
しかし、12日の党総務会では、近畿ブロック所属議員が態度を明確にするよう執行部を激しく突き上げ、党本部としての支援を決定。14日に田中和徳組織運動本部長を大阪市入りさせ、週末には木原稔青年局長も投入する方向だ。
ただ、菅義偉官房長官は橋下氏に肩入れする姿勢を変えていない。13日の記者会見で菅氏は、二階俊博総務会長が都構想に反対姿勢を示したことに関し、「個人としての発言だろう」と意に介さず、改めて都構想への理解を示した。
こうした中、民主党内では、住民投票後をにらんだ動きも出始めている。野党再編論者の前原誠司元外相は12日夜、維新の江田憲司代表と東京都内で会談。13日にも両党議員 が会合を開き、都構想や今後の連携の在り方について意見交換した。民主党内では党再生をめぐって自主再建論と維新などとの再編論が混在しており、住民投票後に党内の路線対立が表面化する可能性もある。
ソース
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2015051300943