中曽根氏以来、最も強い日本の指導者かもしれない安倍晋三首相は来週、米議会上下両院合同会議でのめったにない演説で、70年間にわたるこの関係をたたえる。首相は自国経済を復活させるための日本の協調的な取り組みを強調するだろう。米議会に対しては、バラク・オバマ大統領が環太平洋経済連携協定(TPP)を締結させるために必要な貿易促進権限(TPA、通称ファストトラック)を与えるよう要請する。一部の米国議員からすれば不十分かもしれないが、戦争に対する一定の悔悟の念を表すだろう。戦後の憲法の縛りから解かれた日本が、世界を安全で法律が守られる場所にしておくため米国を手助けするうえで、より積極的な役割を担える将来を描いてみせるだろう。安倍氏は恐らく中国には言及しない。だが、首相が意味することは誰もが分かる。
安倍氏はおおむね、温かく受け入れられるだろう。ワシントンはアベノミクスがうまくいくことを望んでおり、もしそれが強い指導者の代償であるのだとすれば、多少の「Abenesia(アベネジア※)」——日本の戦歴を軽く扱うこと——は容認する用意がある。
実際、ワシントンの多くの人は安倍氏のことを、この20~30年で最高の日本国首相と見なしている。
By David Pilling (2015年4月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO86050900T20C15A4000000/