熱したフライパンの上に水を落とすと、水滴が激しく跳ねまわるということは
よっぽど料理をしないひとでないかぎりご存知だろう。
だが、その現象に『ライデンフロスト効果』という名前がついていることは
知らないひとが大半ではないだろうか。
そしてこの現象が
将来の火星における活動のエネルギー源として活用できる可能性があるという。
いったいどういうことなのか?
これはスコットランドのノーサンブリア大学とエジンバラ大学の研究チームによるもので
科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』で発表されたと
ノーサンブリア大学のウェブサイトにおいて紹介されている。
ドライアイスの蒸気を動力源に
この研究チームが火星上で活用しようとしているのは
ライデンフロスト効果を使ったエンジンだ。
このライデンフロスト効果というのは
液体がその沸点よりもずっと高い温度の物質表面に近接したときに起こる現象で
冒頭に書いたように、熱したフライパンの上に少量の水を落とすと起こるのもこれだ。
そして、同じことが固体の二酸化炭素、つまりドライアイスにおいても起こるという。
熱した表面の上に置かれたドライアイスは、蒸発したガスの上に乗っかる形で、空中に浮くのだ。
そこでノーサンブリア大学の研究では
そのドライアイスの蒸気をエンジンのエネルギー源にすることを考えた。
ライデンフロスト効果をエネルギー源にしようという試みはこれが初めてだという。
特に地球を離れた宇宙での長期にわたる滞在や居住の際に大きなメリットがあると期待される。
自然に生成した二酸化炭素の氷を
廃棄物ではなく資源として使うことができるようになるからだ。
そしてこれは火星へのミッションが“片道切符”ではなくなる可能性を高めてくれる。