そこにはジョブズの生き方がありました。
すい臓癌は、数ある癌のなかでもきわめて予後が悪いことが知られる病気です。
そんな病にアップルの共同創業者
スティーブ・ジョブズが気付いたのはiPodが発売された2年後の2003年のこと。
しかし、ジョブズがその治療のための手術を行なったのは9カ月後のことでした。
そして療養のために仕事を休み
アップルの社員たちにすい臓に悪性腫瘍が見つかったことを告白しました。
その後、ジョブズは仕事に復帰。
iPhoneやMacBook Airといったアップルを代表するクリエイティブな製品を次々と発表し
世間を席巻していきます。
しかし一度は回復したかに見えた病状は次第に悪化。
2009年には5カ月の休暇を取り、臓器移植手術を受けます
(このことはほとんどの社員には公表されませんでした)。
そしてまたアップルへ戻ってくるのですが、2011年の初め、再びジョブズはアップルを離れます。
この頃からついに末期癌であるという噂がささやかれ始め
嘘であってほしいと願う人々の思いもむなしく、10月5日、56歳でこの世を去ります。
すい臓から転移した癌が原因でした。
徐々に病に侵されていくジョブスをアップル社員たちはかなり心配していたのではないでしょうか。
ジョブズは社員には自分の病状をあまり公表したがらなかったそうですから、なおさら…。
3月24日(現地時間)に発売される予定の新しいスティーブ・ジョブズの伝記
「Becoming Steve Jobs」では、今まで公表されなかったある社員との
闘病中のエピソードが公開されているそうです。
その社員とは他ならぬ、ジョブズ亡き後のCEOとしてアップルを支えているティム・クック。
彼は、ジョブズが癌に侵されつつあると知ってから、血液検査を受けました。
そして自分が、ジョブズと同じ珍しいタイプの血液型を持っている
つまり自分の肝臓の一部をジョブズに移植できるという事実を知ったのです。
肝臓なら自己再生する能力がありますし、成功例も多い。
クックにとってもこれはリスクの低い手術となるはずでした。