人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」の「黒塗りメイク」がネットで物議を醸した。
きっかけは、フジテレビ系の音楽番組「ミュージックフェア」の収録に参加した
「ラッツ&スター」メンバーの佐藤善雄さんが2月12日にツイートした写真だ。
そこには、共演した「ももクロ」のメンバーたちが
顔を真っ黒に塗って、ポーズを決めた様子が写っていたのだ。
黒塗りメイクは、黒人音楽に触発されて1970年代後半から音楽活動をしていた
ラッツ&スター(元シャネルズ)のトレードマークだった。
ももクロのメイクもそれを再現しようとしたのだと思われるが
ニューヨークタイムズの田淵広子記者が黒塗りメイクの写真をリツイートしたうえで
「Why Japan needs to have a conversation on racism
(これが日本が人種差別について議論すべき理由だ)」とコメントしたことで
ネットで批判の声が広がることになった。(ケイヒル エミ/ノースカロライナ州)
●欧米ではタブーとされている「黒塗りメイク」
そもそも黒塗りメイクは、19世紀から20世紀頭の米国で
黒人に扮した白人によって踊りや音楽、寸劇などを交えて演じられていた
「ミンストレル・ショー」に起源がある。
黒人をステレオタイプで捉え、嘲笑する人種差別的な内容であったことから
近年では、ミンストレル・ショーや黒塗りメイクは米国をはじめとする欧米諸国でタブーとされている。
そのようなことから、日本のネットユーザーからも「黒人差別だ」と非難する声が高まった。
署名サイトでは、テレビ局に放送の見直しを求める動きが起き
約4500人が賛同した。一方で、一部の日本人ユーザーからは
「黒人へのリスペクトを表していた」「意図していなかったので、差別ではない」
といった擁護の意見もあがっていた。
そんななかフジテレビの対応が注目されたが、3月7日に放送されたミュージックフェアは
番組の内容が変更され、ももクロの黒塗りメイクのシーンがカットされた形で放送された。
また、当初は予定されていたラッツ&スターのグループとしての出演シーンもなくなった。
このように日本で議論を呼んだ「黒塗りメイク」騒動だが
米国人にこの問題について話を聞くと、どんな反応が返ってくるのだろうか?
また、日本社会への理解の度合いによって、反応が異なるのだろうか?
こういった疑問を探るべく、筆者が在籍する米国デューク大学の日本語学部の学生たちに聞いてみた。